大腸がん・内視鏡の解説

陥凹型大腸がんについて

大腸がんには、一般的な隆起したポリープの他に、 陥凹型がん【写真1】【写真2】といわれる日本で発見された早期に発育する危険ながんや、

 陥凹型がん
【写真1】8mmの陥凹型がん
 色素をかけた陥凹型がん
【写真2】色素をかけたところ

LST(側方発育型腫瘍といって大腸の壁を這うように発育、発見が難しく発見時には大きくなって発見されることが多い)というがん【写真3】【写真4】があります。

LSTという腫瘍
【写真3】 38mmのLSTという腫瘍
LSTという腫瘍に色素をかけたところ
【写真4】色素をかけたところ

これらのがんは、現昭和大学教授工藤進英先生のもと、当クリニック院長や全国の俊英なる内視鏡医が集まり研究・報告し、いまだに日本の大腸内視鏡の診断治療の技術は世界をリードしています。

大腸がんの検査には

大腸の検査は肛門からバリウムと空気を入れて撮影する注腸検査、CTコロノグラフィーというCTで大腸を造影する方法やカプセル式の大腸内視鏡検査、そして肛門から内視鏡を挿入する大腸内視鏡検査などがあります。 大腸ポリープは、とくに腺腫の多くが無症状であることを考えると、40歳以上の方であればいずれかの検査をうけることをお勧めいたします。
以前に比べると大腸の検査は検査の選択肢が広がってまいりました。大腸内視鏡検査は、医師に技術が要求されますが、ポリープを発見した場合その場で処置できるという最大の利点があります。

日本の内視鏡のレベルのお話

現在、日本の内視鏡の機器開発・技術・診断・治療は、群を抜いて世界NO.1です。
以前は、日本の内視鏡の世界は、早期胃がんの診断の学問が主流でした。 90年代の大腸陥凹型がんの発見から、 拡大内視鏡の診断やNBIシステム、そして内視鏡治療が飛躍的に進歩してまいりました。最近では、超拡大内視鏡やAIの研究が日本から海外へ精力的に発信されております。
それぞれの分野で著名な内視鏡のスーパードクターがおり、世界の国々で内視鏡のデモンストレーションを行っております。 当クリニックの院長も、国内や海外で多くの内視鏡医の前で、 大腸内視鏡の挿入・拡大内視鏡の診断・内視鏡治療のデモンストレーションを行って参りました。

NBIシステムについて

NBIシステムとは粘膜表面の微細な血管を認識するシステムで、現在では広く普及しております。このシステムは 内視鏡診断を飛躍的に向上させます 【写真5】。

【写真5】

ポリープやがんでは、この微細な血管パターンが変化します。 内視鏡検査時、わかりにくいポリープの発見の診断に有用です【写真6~8】。

一見では難しい

【写真6】一見では難しい

NBIシステムにすると一目瞭然

【写真7】NBIシステムにすると一目瞭然

拡大すると腫瘍病変とわかる

【写真8】拡大すると腫瘍病変とわかる

また、ポリープの病理診断にも有用で、世界的にもとても注目されている画期的な内視鏡診断システムのひとつです。当クリニックでも、2006年に内視鏡クリニックとしていち早く導入いたしました。

拡大内視鏡について

拡大内視鏡とは字のごとく、内視鏡時に病変があれば瞬時に画像の倍率をupでき、 最大100倍まで拡大率を上げて微小ながんの初期病変でも詳細に観察が可能な、内視鏡の診断と治療を飛躍的に向上させる内視鏡装置です【写真9~11】。
拡大内視鏡は陥凹型がんといわれる早期に発育する危険ながんや、 LST(大腸の壁を這うように発育、発見が難しく発見時には大きくなって発見されることが多い)というがんの診断に有用です。 また、内視鏡で切除する必要のある腺腫というポリープを的確に診断することが可能で、無駄な内視鏡治療をしなくてよい利点があります。 さらには、がんの内視鏡治療の適応を診断したり、治療後の再発や出血の予防などにも有用であります。
当クリニックの寺井院長は、現昭和大学・工藤進英教授が秋田日赤病院在職中に研修し、 その後約30年間大腸拡大内視鏡の診断と治療に、学会・研究会・厚生労働省の班会議においても第一線で活動しております。

わずか2mmの陥凹型腫瘍を発見
【写真9】

色素をかけるとわかりやすくなります
【写真10】
拡大することで、腫瘍の構造が明確になり詳細な診断が可能となります
【写真11】

【写真9】わずか2mmの陥凹型腫瘍を発見、
【写真10】色素をかけるとわかりやすくなります、
【写真11】拡大することで、腫瘍の構造が明確になり詳細な診断が可能となります